人間工学
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局所シャワー湯温刺激に対する心理的印象の基礎研究
山口 静馬佐伯 徹郎中村 誠藤井 謙治
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1999 年 35 巻 5 号 p. 295-302

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抄録

シャワー浴における人間の心理的印象を考察するための基礎的研究として, 局所シャワー湯温刺激の場合に着目し, これに対する心理的印象の処理方法について基礎的立場から考察した. 具体的には, 湯温刺激に対する評価尺度として7つのカテゴリー化された湯温感を採用し, カテゴリー評価尺度に関する等間隔性についてまず考察した. 次いで, 被験者が男性の場合と女性の場合によって湯温刺激に対する心理的印象に差異が生じるかどうかを赤池情報量規範 (AIC) を用いて検討した. 物理的な湯温刺激とそれに対する心理的印象との関係を定量化する場合, (物理的な入出力関係をもつ) 通常の物理システムの計測とは異なり, (物理的入力-心理的出力といった) 主観量の出現する非決定論的あいまいシステムの計測となる. このような観点から, 物理的湯温刺激と心理的印象との関係をファジィ理論におけるメンバシップ関数によって定量化することを試みている. そして主観的判断がもつあいまい性の程度をファジィエントロピーを用いて考察した. 結果として, 次のような知見を得た. (1) 湯温感に関するカテゴリー評価尺度は近似的に等間隔評価尺度と見なすことができた. (2) 湯温刺激に対する心理的印象は, 男性よりも女性の方がより熱いと感じるが, 主観的判断にはより多くのあいまい性を含んでいた.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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