本研究は, 全身シャワー浴における生理・心理的反応を明らかにするとともに, 使用者と介護者の双方に対してやさしい入浴システムを実現するための技術的要件を提示することを目的としている. 本論文では, この目的を遂行するため考察した全身シャワー浴システムの要件, それに基づき構築した実験システム, 及び全身シャワー浴の特殊性を確認するため行った被験者実験について述べている. 実験システムは, 現状のようにシャワー浴装置を単に一つの機械としてとらえるものではなく, 入浴にかかわる温熱環境下において, 使用者, 介護者及びシャワー浴装置が一体となり良好な人間-機械系を形成すべきものとの観点から構築された. 実験システムは, 全身シャワー浴において筐体構造がもたらす温熱的特殊性を調査できること, 被験者の身体部位別に給湯条件を設定できることなどを特徴としている. 構築したシャワー浴装置について湯温と湯流量制御の実験を行った結果, 定常特性と過渡特性はともに良好であることが確認された.