人間工学
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意思決定型作業における時間的制約がパフォーマンスに与える影響に関する研究
山崎 寛享辛島 光彦齋藤 むら子
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2003 年 39 巻 3 号 p. 123-130

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抄録

本研究は意思決定作業における時間的制約とパフォーマンスとの関係を明らかにすることを目的とし, 時間的制約がパフォーマンスに与える影響を時間的制約の段階を細分化することにより実験を通じて詳細に検討した. 実験は時間的制約なしを含めた7段階の時間的制約について, Payne ら (1988) が用いた課題をモデルに難易度の異なる2種類の意思決定課題を作成し被験者14名に24試行遂行させた際の, 時間的制約に対する, 作業精度, 作業時間, 意思決定方略の様相について検討した. 実験の結果, 課題の難易度によらず, 時間的制約の短縮に伴い作業時間は短縮するが, 作業精度はある一定の短さの時間的制約までは維持され, それ以上の時間的制約において低下することが示唆された. この作業精度が低下する時間的制約は課題の難易度により異なり, 意思決定方略の変更も難易度により異なることが示唆された. また時間的制約に起因して主として増加するエラーのタイプも課題の難易度の影響を受けることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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