抄録
セル生産方式のように一人の作業者が多くの部品を取付ける組立作業において, 現状の文書やOJTによる作業指導では作業者が作業内容を記憶するまでに長い期間がかかるという問題がある. 本研究では, 現状の作業指導の代替案としてパソコンを作業指導に用いるために, 提示情報の相違で生じる作業情報の取得に関する習熟の差について分析し, 文字や静止画の利用に関する基礎的な知見を得ることを目的としている. 実験では学生12名を被験者とし, 単純な部品取付作業を設定した. 作業情報として被験者には文字または静止画を提示した. 提示情報の相違が作業情報を記憶する過程や作業の正確性へ及ぼす影響を分析した結果, 作業情報の取得に習熟を要する作業における文字と静止画の利用に関して以下のことが得られた. (1) 作業開始直後の静止画は文字に比べ情報取得時間が短い. (2) 作業開始直後において, 文字は提示される情報量の増加に伴い情報取得時間が長くなる. (3) 作業開始直後においては静止画のほうが作業の正確性は高い. (4) 作業情報を記憶することに関しては文字のほうが有効である.