人間工学
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39 巻, 5 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 樹野 淳也, 大曽根 威文, 西田 知史, 小林 尚登
    2003 年 39 巻 5 号 p. 201-209
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    ロボットと人間の共存を実現するためには, ロボットはその外見・容姿だけでなく動作・振る舞いもヒューマンフレンドリーであるべきである. そこで本論文では, 双腕マニピュレータが部分拘束協調作業を人間らしく実行するための軌道生成方法を提案する. 提案する手法では, 人間の上肢運動のモデルのひとつである関節のトルク変化だけでなく, 物体の見えやすさの観点も考慮した評価関数により双腕マニピュレータの協調動作軌道が導かれる. さらに, 提案した手法を用いシミュレーションを行い, その結果を人間の実動作時の軌道および他の二つの評価関数による軌道と比較し, 人間の動作に近い動作を生成できていることを確認する. その結果, 特に, 本論文で提案された“見えやすさ”の要素も必要であることが示唆された.
  • 渡邉 昭二, 中村 和男
    2003 年 39 巻 5 号 p. 210-218
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    非言語表現を活用したヒューマンインタフェースは, 人と機械との親和性の向上に役立つと考えられる. これまでに, 非言語表現の理解構造モデルに沿った動作計測や分析方法の検討を行ってきた. 本研究では, ヒューマンインタフェースの適用場面をコンピュータタスク時に限定し, 観察実験, 分析を行うことで, 非言語表現の理解構造モデルにおける言語的動作特徴と人物の感情・意図の表現用語の類型化, およびそれらの関連性の把握などを行い, ヒューマンインタフェースへの適用の可能性を検討することを目的とした. 観察実験は3タイプのコンピュータタスクに対して行われ, 様々な動作についての特徴や感情・意図の言語表現を得て, パターン分類と判別分析を行った. 分析結果から, 部分的ながらも言語的動作特徴と人物の感情・意図の関連構造の有効性が確認され, コンピュータタスクを支援する非言語ヒューマンインタフェースへの展開可能性が示唆された.
  • 文字情報と静止画情報の比較
    志田 敬介, 市耒嵜 治, 松本 俊之, 金沢 孝
    2003 年 39 巻 5 号 p. 219-231
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    セル生産方式のように一人の作業者が多くの部品を取付ける組立作業において, 現状の文書やOJTによる作業指導では作業者が作業内容を記憶するまでに長い期間がかかるという問題がある. 本研究では, 現状の作業指導の代替案としてパソコンを作業指導に用いるために, 提示情報の相違で生じる作業情報の取得に関する習熟の差について分析し, 文字や静止画の利用に関する基礎的な知見を得ることを目的としている. 実験では学生12名を被験者とし, 単純な部品取付作業を設定した. 作業情報として被験者には文字または静止画を提示した. 提示情報の相違が作業情報を記憶する過程や作業の正確性へ及ぼす影響を分析した結果, 作業情報の取得に習熟を要する作業における文字と静止画の利用に関して以下のことが得られた. (1) 作業開始直後の静止画は文字に比べ情報取得時間が短い. (2) 作業開始直後において, 文字は提示される情報量の増加に伴い情報取得時間が長くなる. (3) 作業開始直後においては静止画のほうが作業の正確性は高い. (4) 作業情報を記憶することに関しては文字のほうが有効である.
  • 勝平 純司, 山本 澄子, 関川 伸哉, 丸山 仁司
    2003 年 39 巻 5 号 p. 232-240
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では動作解析装置と床反力計を用いた動作分析の手法を用いて算出した腰部関節モーメントを指標として, 数種類の階段の蹴上げと踏み面, スロープの斜度が昇降時の腰部負担にどのように影響するか客観的に比較, 検討することを目的とした. 実験では高齢者計測の基準データを作成するため若年健常男性8名を対象とし, 建築基準法の上限値と長寿社会対応住宅設計指針の推奨値を参考にして作成した6種類の階段と2種類のスロープの昇降動作を行った. 実験結果より腰部モーメントはスロープ昇降時よりも階段昇降時で大きくなっていた. 階段昇り時の腰部モーメントは蹴上げ高さの違いによって大きく影響を受けるが, 踏み面の違いによってほとんど影響を受けないことが分かった. 降り時には蹴上げが高くなり踏み面が狭くなる建築基準法上限値の階段で腰部モーメントが大きくなることが分かった.
  • 斎藤 健治, 井上 伸一, 細谷 聡, 清田 勝
    2003 年 39 巻 5 号 p. 241-249
    発行日: 2003/10/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究は, 高齢者の自転車走行中の, ハンドルふれと車体のふれ (ローリング運動) の特徴を明らかにすることを目的としている. 10人の高齢者と9人の若年者を被験者とし, 50mの走行路で自転車走行した. 実験試技は低, 中, 高スピードの直線自由走行, 幅員制限走行およびスラローム走行であった. 自転車走行中のハンドルふれ角変位, ローリング角加速度, および走行スピードを計測し, 角加速度の大きさ, 走行軌跡,角加速度の周波数や相関関数を求めた. その結果, すべての試技において高齢者の角加速度, 走行軌跡幅が大きく, 特に低スピード走行において若年者との差が大きかった. また, 高齢者のハンドル, ローリング運動の周期性は若年者より弱かった. さらに, 高齢者は, ハンドルふれがローリング運動に影響しやすい特徴をもっており, 走行条件に合わせて自転車操作を変化させられない傾向も見られた.
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