本研究は, 高齢者の自転車走行中の, ハンドルふれと車体のふれ (ローリング運動) の特徴を明らかにすることを目的としている. 10人の高齢者と9人の若年者を被験者とし, 50mの走行路で自転車走行した. 実験試技は低, 中, 高スピードの直線自由走行, 幅員制限走行およびスラローム走行であった. 自転車走行中のハンドルふれ角変位, ローリング角加速度, および走行スピードを計測し, 角加速度の大きさ, 走行軌跡,角加速度の周波数や相関関数を求めた. その結果, すべての試技において高齢者の角加速度, 走行軌跡幅が大きく, 特に低スピード走行において若年者との差が大きかった. また, 高齢者のハンドル, ローリング運動の周期性は若年者より弱かった. さらに, 高齢者は, ハンドルふれがローリング運動に影響しやすい特徴をもっており, 走行条件に合わせて自転車操作を変化させられない傾向も見られた.
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