人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
足の踵の高さが中年女子の立体保持姿勢に及ぼす影響
岡田 宣子
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 40 巻 3 号 p. 155-162

詳細
抄録

本報は生活姿勢に関する基礎資料を得ることを目的としている. 健康な成人女子の年齢要因2水準 (中年女子・若年女子) と, 木片を用いて足の踵の高さを4水準 (control: O・low: L・middle: M・high: H) に変化させ, 立位姿勢を保持する際の1分間の重心動揺を測定し, それら負荷の影響をとらえた. 主な結果は次の通りである.
(1) 重心移動平均速度を分析したところ, 年齢要因および足の踵の高さの要因は, それぞれ全変動の60%および13%を占め, 年齢が大変大きく影響していた.
(2) 周波数分析の帯域別にOとL・M・Hそれぞれを比較すると, X成分では中年の高周波帯域のみ有意に減少したことから, 左右方向の復元力の減少が示された. Y成分ではM・Hのすべての帯域で若年が細やかな調整を有意に働かしていた.
(3) 中年では若年と比較したところX・Y両成分で踵の高さの負荷影響が大きく, 5.0~10.OHzの高周波帯域でその影響が生じていた.(4) 中年ではローヒールが安定しており, 姿勢制御が若年より不安定であることから, 安全性に十分配慮し用途に応じてヒール靴を履き分ける必要がある.
(5) 立位保持姿勢評価に周波数分析が有効であることが明らかになった.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人間工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top