2005 年 41 巻 4 号 p. 218-227
本研究では, 単眼透過型ヘッドマウントディスプレイ (MSTHMD) を用いた Augmented Reality をVDT作業に応用する可能性について検討した. 航空管制におけるレーダー監視をモデル作業とした実験では, 被験者が, MSTHMDに表示される航空機間の距離をレーダー模擬画面に重ね合わせて見ながらタスクに取り組んだ. 結果は以下のようにまとめられる. まず, 付加情報を得ることによって, 被験者はニアミスの予測および回避がしやすくなった. ただし, レーダー模擬画面上の情報量が多い場合, 付加情報の支援効果は小さかった. また, 付加情報をレーダー模擬画面に直接表示させた場合, 被験者の注意は付加情報に強く惹きつけられ, 他の部分に対する注意が相対的に弱まったのに対し, 付加情報をMSTHMDに表示させた場合, 被験者は必要なときだけ付加情報に注意を払い, そうでないときは他のより重要な情報に注意を向けることができた.