人間工学
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視覚障害者用線状ブロックの方向指示機能に関する検討
武田 真澄渡辺 洋子高橋 了子田内 雅規
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2006 年 42 巻 3 号 p. 190-199

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抄録

本研究では近年規格化された視覚障害者用線状ブロックの方向指示機能を視覚障害者の協力を得て評価した. 歩行路 (幅3m×長さ10m) を設け, 手前に線状ブロックを一列 (奥行き30cm), 突起方向を進行方向に対し平行に向ける平行配置, あるいは垂直に向ける垂直配置で設置した. 方向検出方法は両足を交互に上下させる‘ステップ’と足を滑らせる‘スライド’の2種とした. 評価は歩行路中心からの歩行軌跡の左右への偏軌量及び方向定位時の確信の度合いをみることで行った. 歩行前半部の軌跡の偏軌量は全ての地点 (1~5m) で垂直配置/ステップが最も小さく, 平行配置/スライド, 平行配置/ステップの順で続いた. 一方, 方向定位時の確信度は, 平行配置/スライドが最も高く, 平行配置/ステップ, 垂直配置/ステップの順で続いた. この結果から, 検出方法に関わらず線状ブロックは平行配置より垂直配置の方が高い方向指示機能を示すことが分かった. 偏軌量と確信の度合いの間に見られた差異は, 視覚障害者の日常生活におけるブロックの利用法と関連するものと推測された.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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