人間工学
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昇段・降段動作を考慮した歩行補助車の制動装置およびハンドグリップとカゴの配置に関する理論的研究
高野倉 雅人
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キーワード: モデル, 段差, 傾斜角, 摩擦, 設計
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2007 年 43 巻 3 号 p. 138-148

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抄録

歩行補助車の車輪を段の上へ持ち上げたり段の下へ降ろしたりするために, 使用者がハンドグリップへ加える力を, 矢状面での力やモーメントの釣り合いから導出した力学モデルを用いて推定する. モデルの分析結果から, 制動装置の使用の影響およびハンドグリップやカゴの配置の影響について考察する. 制動装置を使用すれば, ハンドグリップをどこに配置しても, 水平方向の力だけで車輪を容易に操作できる. 制動装置を使用しないと, 車輪の操作が力学的に不可能になったり, 困難になったりする. 昇段および降段動作をする際に, 使用者がハンドブレーキなどの制動装置を適切に使用できるような機能を, 歩行補助車に備える設計が望ましい. カゴに荷物を載せる場合, 使用者がハンドグリップへ加える力は, カゴの水平方向の配置に依存し, 高さには依存しない. 荷物に作用する重力が前後輪に均等に配分されるように, 前輪と後輪との中間にカゴを配置するのが望ましい.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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