人間工学
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日常生活における注意経験と主観的メンタルワークロードの個人差
篠原 一光山田 尚子神田 幸治臼井 伸之介
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2007 年 43 巻 4 号 p. 201-211

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抄録

本研究の目的は, 注意・認知機能の利用を要する日常的経験 (日常的注意経験) について調べる質問紙を開発し, 注意を必要とする課題を遂行することで生じる主観的メンタルワークロードと日常的注意経験の関係について検討することであった. 新しく開発された日常的注意経験質問紙は32の質問で構成され, (1) 注意集中能力, (2) 認知制御能力, (3) 注意転導傾向, (4) ながら作業志向性という4つの下位尺度を含むものとなった. 実験では, 114名の大学生が複合数字抹消検査を行い, 実験前後での主観的メンタルワークロードを測定した. 結果は, 注意集中能力を高く評価する人は実験前後とも課題達成に伴う快が喚起され, また, ながら作業志向性の強い人は実験後に時間関連負担, 一般的負担, ネガティブ大分をより低く評価することを示した. これらの結果は, 主観的メンタルワークロードの個人差が日常的注意経験の特徴によって部分的に説明される可能性があることを示している.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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