2008 年 44 巻 5 号 p. 296-301
一般的に運動計測で用いる電子光学式標点計測法では, 布に覆い隠されない露出した箇所に反射マーカを貼付しなければならず, 衣服内には貼付することができない. そこで, IR-LEDをマーカとして直接皮膚に貼付し, 衣服を着用した状態で動作計測することを想定し, 遮蔽する布の種類と重ねた枚数, マーカと布との距離, およびIR-LEDマーカに対するカメラの位置についての計測精度を検討した.
その結果, マーカと布との距離が1cm以内の場合, 直接皮膚にIR-LEDマーカを貼付した方が動作計測には有効であった. また, デニムのように厚い布を2枚重ねにしても透過することから, ほとんどの衣服下で計測点として使用可能だと考えられた. ただし, マーカと布との距離が不安定になると誤差がでるため, マーカと布との距離が一定になるようなゆとり量の少ない衣服を着用することが必要である.