海洋開発事業の発展に伴って, その欠くべからざる要素のひとつとして, 人間の海中活動の必要性が痛感されてきた. 海中は高圧, 寒冷, 暗黒で何らかの人為的手段を施さなければ人間の活動の許されない領域である.
この人為的手段は人間工学的知見を基礎として発展させなければならないものだが, この知見の獲得, 開発はいまだ体系的に行なわれてはいない, 筆者は主として技術的開発上の見地から, 海中活動の人間工学に関して必要と思われる研究開発の諸問題を体系的に整理列挙し, 会員諸氏の力を結集して今後の海洋開発の発展上の要請に応ずるような組織的研究の促進に資することを念願として, この序説を提出する.