人間工学
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頭部衝撃における人頭皮の緩衝能とそのシミュレーション
平川 公義中村 紀夫益沢 秀明橋爪 敬三佐野 圭司
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1970 年 6 巻 2 号 p. 71-80

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抄録
頭部衝撃による脳, 頭蓋骨の傷害は, 人頭皮によって緩和される. 人頭皮の衝撃に対する緩衝能ならびに物理的特性を知るとともに, 市販の材料中より, 等価の緩衝材料を見出す目的で, ゴム類, 土, 発泡スチロールについて実験を行なった.
屍頭頭頂部より採取した人頭皮の試験片を鉄台上に置き, その上へ, 加速度計を内臓した重量5kgの頭蓋モデルを, 高さを変えて落下せしめ, 衝撃加速度を記録すると同時に, 傷害の程度を組織学的に検討した.
人頭皮は, 落下距離が30cmより高くなると組織破壊が始まり, 40cmで組織は断裂し, 衝撃加速度曲線は bottoming をおこし, 緩衝能を失う. このさいの衝撃加速度値は100gを示した.
加速度曲線の類似性より検討すると, 厚さ7mmの Viskol A-30® (チオコールゴム) は, 100gまでの範囲内では人頭皮の緩衝能とよく一致することがわかった. ただしゴム類では弾性限界は高い. 土, 発泡スチロールについても同様に実験を行ない, 人頭皮の simulation に関して若干の検討を加えた.
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© 一般社団法人 日本人間工学会
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