抄録
本稿は人間を線形系と仮定した手動制御系における制御者の動特性の測定に関するものである. 測定方法は入出力間の統計的手法を用いているが, 入力信号にM系列信号を用いている点に特長がある. M系列信号は, その自己相関関数がデルタ関数に近い周期性2値擬似ランダム信号である. M系列信号の定数のとり方と動特性の関係を理論的に解析し, かつ人間のもつ制約条件について検討して, 制御者の動特性の決定に適する方法を提唱している. その結果, 簡便な動特性の測定法として, むだ時間をもつ一次おくれ系のむだ時間と時定数の算定法を, 厳密な動特性の決定には系の重み関数を利用する方法を測定例とともに述べている.