物理療法科学
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腰部脊柱管狭窄症を有する虚弱高齢者のバランス能力に対する足底部への温熱療法の効果
池田 崇久合田 浩幸大矢 暢久長澤 弘
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2014 年 21 巻 1 号 p. 75-78

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抄録

足底部への温熱療法が腰部脊柱管狭窄症(LCS)を有する虚弱高齢者のバランス能力に及ぼす影響を検討した.対象はLCSを有する虚弱高齢者13名,平均年齢82.6歳.バランス能力評価として,開眼片脚立位時間(OLS),Timed up and Go test(TUG),Functional Reach(FR),筋力評価として等尺性膝伸展筋力(KE)を測定した.条件は75°Cの温水で加温した乾熱式ホットパックを足底部に3分間施行した.足底部への温熱療法の前後で,OLS(pre: 5.8±5秒,post: 8.3±6.4秒)とFR(pre: 26.2±7.2 cm, post: 29.5±6.9 cm)は有意に向上した.TUGは差を認めなかった.KEは0.32±0.1 kgf/kgであった.健常者と同様にLCSを有する虚弱高齢者においてもバランス機能に対する即時効果が認められた.改善を認めたOLSとFRはともに評価時に全足底部が接地している割合が多く,足底からの感覚入力が得られやすい条件設定であると考える.足底部への温熱療法は即時的なバランス改善効果を有すことが示唆され,短時間であったとしても施設利用に際しての安全管理の側面で転倒予防に寄与し得ると思われる.

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© 2014 一般社団法人 日本物理療法学会
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