物理療法科学
Online ISSN : 2758-1063
Print ISSN : 2188-9805
教育講演
慢性創傷評価の最前線
前重 伯壮吉川 義之植村 弥希子園田 悠馬
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 30 巻 1 号 p. 8-13

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抄録

リハビリテーション専門職が関わる代表的な慢性創傷として,褥瘡と糖尿病性足潰瘍が挙げられる.2022年の診療報酬改定において,糖尿病足病変が運動器リハビリテーションの算定疾患として追加されたため,リハビリテーション専門職よる慢性創傷の評価,管理の普及が必要である.褥瘡の評価としてDESIGNが従来から用いられ,近年DESIGN-RⓇ2020に改定されて深部組織損傷(DTI)と臨界的定着疑いが追加された.臨界的定着は感染徴候を示さず細菌によって創傷の治癒が阻害されている状態であり,可視化する評価方法が近年開発された.糖尿病性足潰瘍では病因から創傷が大別され,神経障害,血管障害,感染を基準にした神戸分類が主な指標である.褥瘡リスク患者では,主に臥位や座位での接触圧が測定され,糖尿病性神経障害患者では足底圧が評価される.接触圧は簡易式の測定器とシート状の圧分布解析システムに大別され,さらに圧分布システムにも様々な特徴があり,導入には特徴を把握することが必須である.本稿が創傷患者評価の一助となれば幸いである.

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© 2023 一般社団法人 日本物理療法学会

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