2024 年 31 巻 1 号 p. 11-17
中枢神経疾患には脊髄損傷や脳性麻痺など脳と脊髄の障害による疾患が含まれ,代表的なものとして脳血管障害があげられる.脳血管障害は損傷部位に応じて多彩な症状を示し,中でも1/3の患者に運動麻痺が残存するとされており,リハビリテーションの主要な課題となることが多い.この運動麻痺に対して物理療法による改善を報告した研究が多くなされており,脳卒中治療ガイドライン2021において電気刺激療法の使用が推奨されている.また,運動麻痺の症状の一種である痙縮に対する物理療法の効果研究も進められており,体外衝撃波療法や末梢磁気刺激など新しい物理療法の適応も報告されてきている.本稿では物理療法の臨床実践例について脳血管障害に対する効果を中心に述べる.また,脳血管障害以外の中枢神経疾患への物理療法として首下がり症候群への試みも紹介する.