論文ID: 2023-014
物理療法による疼痛治療は,病期別の疼痛メカニズムを十分に理解したうえで,物理療法を適切に選択し,実践する必要がある.急性期では,著明な疼痛と炎症症状が身体機能の予後不良に繋がる大きな要因となることから,消炎・鎮痛作用を有する物理療法が選択されるべきである.慢性期では,疼痛に対する直接的な作用を求めるだけでなく,運動療法をアシストするような間接的な役割が可能な物理療法を選択することも含めて治療戦略を考えるべきである.本稿では,病期別の疼痛メカニズムや疼痛治療に応用できる物理療法について概説するとともに,疼痛に対する物理療法の治療戦略について提示する.