体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
原著
血管拡張薬としてのセボフルラン
―小児体外循環中の使用経験―
谷 誠二高林 新小津 泰久西川 祐策冨田 雅之川野 登志子暮石 陽介宇佐美 俊介行光 昌宏岩田 英城新保 秀人
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 39 巻 2 号 p. 132-137

詳細
抄録
 当院では2010年7月より小児体外循環中にセボフルラン(SEV)を末梢血管拡張薬として使用するプロトコールを導入した。末梢血管拡張作用を中心にSEVの有用性を検討したので報告する。対象は体重7.5kg以下の18例で、体外循環(CPB)は灌流量2.7L/min/m2、目標血圧35~55mmHgとし、大動脈遮断中に血圧55mmHg以上にてクロルプロマジン(CPZ)1~3mg/回の間欠投与のみを行ったC群(n=10)と、SEV 0.5~2.0%を併用したS群(n=8)に分けて比較検討した。両群間の体重、CPB時間、大動脈遮断時間、最低直腸温に差はなく、S群のSEV投与開始はCPB開始後25±16分であった。S群のCPZ総使用量は2±1mgでC群の9±4mgより少なかった(P<0.01)。C群のCPZ投与開始時と15分後の血圧には(56±11、52±11mmHg)差を認めなかったが、S群のSEV投与開始時血圧は15分後には低下し(58±6、40±10mmHg)(P<0.01)、その後安定した(20分後42±9mmHg)。CPB中尿量はC群86±93mL、S群206±113mLとS群が多かった(P=0.02)。SEVは体外循環中に適切な尿量を維持しつつ、より早い血圧調節を行い得ることから、小児体外循環の血管拡張薬として有用である。
著者関連情報
© 2012 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top