抄録
本研究は、人工心肺(cardiopulmonary bypass:CPB)運転中に測定した皮膚灌流圧(skin perfusion pressure:SPP)と、灌流量や灌流圧の変化、体血管抵抗および体温との関係を報告した追加研究である。今回、心不全を合併する症例やCPBの離脱が困難であると推測される重症例において、CPB運転中のSPP測定値が末梢循環評価の有効な指標となり得るかを検討した。結果、CPB離脱時にカテコールアミン製剤を使用したcatecholamine群において、術前から重症な心不全を合併した全身状態が不良な症例では、術前から末梢温が有意に低下し、心不全を呈していた。また、術前やCPB運転中に体血管抵抗が高値であることから、SPP測定値と平均動脈圧が解離し、SPPを指標としたCPB管理が困難であった。しかし、CPB管理中のみならず術後も経時的にSPPの変化を観察することで、末梢循環不全の予測が可能であることが示唆された。