体外循環技術
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原著
尿中NGALを使用した小児心臓外科手術後における早期AKI診断の可能性
若松 禎人中西 啓介松下 訓佐藤 剛康本 豪哲川崎 志保理天野 篤
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2020 年 47 巻 1 号 p. 15-21

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抄録

 急性腎障害(acute kidney injury:AKI)に対する早期の治療介入は生命予後の観点から極めて重要である。腎臓が未発達である小児領域では、AKI発症時に血清クレアチニン値(sCr)の上昇を認めるまでに24時間以上を要するとされる。さらには、基準となるsCrが低値であるためにわずかなsCrの上昇でも見逃すことができず、成人と比べると早期のAKIの診断は困難である。

 2018年6月から2019年2月までに人工心肺を使用して小児心臓外科手術を行った64症例を対象として、尿中のバイオマーカーであるneutrophil gelatinase-associated lipocalin(NGAL)が術後早期のAKIの予測因子になり得るのか評価を行った。

 AKI群は16例(25%)であった。AKI群では、RACHS-1 scoreが高く手術時間、人工心肺時間および人工呼吸器使用時間が有意に長期であった。尿中NGALは、術後からAKI群で有意に上昇し、そのmedian(interquartile range)は、非AKI群5.6(1.0~35.8)ng/mLに対して37.1(11.1~148.3)ng/mLであった(p=0.021)。AKI発症の予測値は、受信者動作特性曲線では曲線下面積が0.69を示しカットオフ値を11.9ng/mLとすると、感度が0.75、特異度は0.44であった。

 RACHS-1 scoreが高い症例ほどAKIになる傾向があり、尿中NGALは、既存のAKI診断と中等度の相関関係を示し、AKIを周術期の早期に予測できる因子となり得る。

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© 2020 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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