体外循環技術
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原著
大腿送血カニューレ先端形状が送血側下肢灌流に与える影響に関する検討
長嶋 耕平松坂 裕子初鹿野 夏気幸崎 奈緒高橋 裕一下司 映一田端 実
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2020 年 47 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

【目的】我々は低侵襲心臓手術(minimally invasive cardiac surgery:MICS)における大腿動脈(femoral artery:FA)送血時の下肢虚血予防として下肢灌流管理を近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy:NIRS)により、局所酸素飽和度(regional oxygen saturation:rSO2)をモニタリングすることによって行っている。本研究では送血カニューレ先端形状が下肢灌流に与える影響を検討した。

【方法】2014年4月から2017年9月までに大腿動脈送血によるMICSを施行した106例を対象とし、側孔の多い非先端強化型カニューレC群と側孔の少ない先端強化型カニューレN群を後方視的に比較した。交絡因子の調整にはpropensity score matchingを行った。

【結果】N群でrSO2値25%以上低下する割合が有意に低率(60.0% vs 15.6%;p=0.003)であった。その他の因子に有意差を認めなかった。

【結論】従来の下肢虚血予防に加え、先端強化型カニューレを使用することで、下肢虚血合併症を軽減できる可能性が示唆された。

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© 2020 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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