体外循環技術
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原著
ヘパリン反応性に対する影響因子についての検討
山城 知明日比谷 信小島 小登音清水 弘太藤浦 拓也竹内 陵高木 靖
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2020 年 47 巻 2 号 p. 115-121

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抄録

 近年、本邦における人工心肺中の活性化全血凝固時間(activated clotting time:ACT)は480秒以上へと推奨されて来ており、当院でも人工心肺開始時ACTを480秒以上へと変更した。しかしながら、未分画ヘパリン(unfractionated heparin:UFH)を投与してもACTが480秒を超えない症例は稀ではない。今回、ヘパリン反応性に対する影響因子について後ろ向きに調査した。2017年5月から2018年12月までに待機的に施行された人工心肺下開心術症例の中で初回UFH投与量の影響を除外した137例を対象とした。このうち、ヘパリン抵抗性は41例(30%)に認められた。影響因子については年齢、大動脈閉鎖不全(aortic regurgitation:AR)、Hb、TP、Alb、Alb/TP、麻酔導入後ACT(PreACT)、総UFH投与量、AT(antithrombin:AT)製剤投与において有意差が認められた。また、多変量解析においてPreACTとAlbが独立した予測因子であり、Albが3.8g/dL以下の場合にヘパリン反応性が低下する可能性が明らかとなった。

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© 2020 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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