体外循環技術
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研究論文
小児心臓手術時の人工心肺中における人工肺入口圧の予測に関する研究
田辺 貴幸中島 章夫福長 一義中村 淳史鈴木 哲治田辺 克也佐藤 耕一山下 雄作中田 貴丈田中 千久高橋 幸宏
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2021 年 48 巻 4 号 p. 277-283

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抄録

心臓手術では人工肺は広く使用されており、人工肺入口圧は人工心肺回路中のなかで最も圧力が高く、トラブル回避を目的に監視する必要がある。 しかし、様々な要因の影響を受け、人工肺入口圧を予測することは困難である。今回我々は、実際の手術記録から人工肺入口圧を求める重回帰式を導き、これに基づく予測値を実測値と比較検討したので報告する。2018年1月から2019年12月で体重10kg以下、上行大動脈送血単独であった261症例を対象とし、解析には3種類の人工肺を使用した(オキシアNeo、オキシアIC06、Baby-FX)。人工肺入口圧の予測に重回帰分析を用い、人工肺入口圧を目的変数、送血カニューレサイズ、血液流量、灌流圧、Ht、TPを説明変数とした。Adjusted R-squaredはそれぞれ、0.55、0.60、0.44(p<0.01)であった。2020年1月から12月までの158症例の患者を対象に、予測値と実際値の相対誤差とSpearmanの順位相関係数を求めた。相対誤差は11.9%、11.8%、10.3%、相関係数は0.79、0.82、0.84(p<0.01)であり、正の相関関係が得られた。人工肺入口圧は、血液流量、送血カニューレサイズ、Htの影響を受け変化し、使用した3種類の人工肺は、重回帰式から人工肺入口圧を予測できることが示唆された。

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© 2021 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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