体外循環技術
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原著
ECMO回路30日間保管後の無菌性および人工肺性能維持の評価
笠井 亮佑岡崎 充宏田中 裕香子安藤 ゆうき島峰 徹也上條 史記川田 尚規村田 綾井上 将川野 宏明篠原 一彦田仲 浩平
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2023 年 50 巻 1 号 p. 1-10

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抄録

 ELSO General Guidelines for ECLS Cases 2017年度版では、ECMO回路保管期間は回路充填後30日間までが推奨されている。しかし、多孔質ポリプロピレン中空糸を支持体としたシリコーン膜を用いた人工肺を含むECMO回路における検討はなされておらず、日本の基準は存在しない。そこで、多孔質ポリプロピレン中空糸を支持体としたシリコーン膜を用いた人工肺を含むECMO回路30日間保管における無菌性および人工肺性能維持の評価を実施した。ECMO回路を未充填状態で保管するドライ群(n=5)と、プライミング充填状態で保管するウェット群(n=5)に群分けした。細菌検査として、BHI培地による細菌培養評価およびエンドトキシン評価を実施した。また、人工肺性能評価として、酸素移動量、二酸化炭素移動量、圧力損失を評価した。

 その結果、すべての検体に菌の繁殖を示す培地の濁りは認められず、エンドトキシン値は検出限界値以下であった。また、人工肺性能の低下は認められず、人工肺のガス交換能仕様に適合した。

 本研究の結果から、多孔質ポリプロピレン中空糸を支持体としたシリコーン膜を用いた人工肺を含むECMO回路は充填後30日間保管が可能であることが示唆された。

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© 2023 一般社団法人 日本体外循環技術医学会
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