体外循環技術
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研究論文
新しい膠質浸透圧測定法の臨床応用についての検討
松本 猛志吉田 靖村辻 雄大峰松 佑輔楠本 繁崇高階 雅紀三善 英知上野 高義
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キーワード: ECUM, 限外濾過, コロイド, COP, 浮腫
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2025 年 52 巻 1 号 p. 35-41

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抄録

 膠質浸透圧(COP)の維持は、体液バランスをより低く保つことに貢献し臨床転機の改善が期待できる。人工心肺(CPB)管理では低COP補正目的にコロイド溶液を用いるが、現在CPB中に適したCOP測定法は普及しておらずCOP値は把握できていない。我々はこれまでに、CPB回路付属の限外濾過膜を用いて、簡便にCOPを測定する方法(本法)を報告した。そこで、本法が臨床応用において簡便かつ正確に使用可能かを評価することを目的に検討を行った。対象症例30例に対し、CPB中の計測点4点でCOPを測定した。測定精度と測定手技、測定結果の妥当性について評価した。結果は、本法測定値と血漿総蛋白(TP)より算出したCOP値を比較した級内相関係数はICC(2, 1)=0.784、95%CI=-0.035~0.939であり高い信頼性を認めた。研究期間を通じて有害事象はなく、臨床使用における問題点は見られなかった。本法にて測定されたCOP値は、体液バランスと負の相関を認め、先行研究と同様の結果を得た。本法は、CPB中のCOP測定法として臨床応用可能な技術であると考えられた。

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