抄録
初期充填 液に対しECC開始前に限外濾過(ECUM)処理を行い,充填液の血液組成変化を検討した。対象は1歳未満開心術29例で,CPD加血と乳酸リンゲル液を初期充填 後,全充填液量の200%量を5%ブドウ糖,生理食塩液,FFPで追加し,同量を限外濾過した。初期充填液量807±166ml(CPD加血534±143ml),洗浄液量1708±441ml(FFP248±59ml)。K値は患児4.0±0.5,充填液ECUM前5.4±3.0,後2.0±0.6,ECC開始後3.3±0.7mEq/lであった。以下ECUM処理により,アンモニア116±67から56±18μg/dl,乳酸49±27から19±12mg/dl,ピルビン酸0.6±0.6から0.1±0.2mg/dlと変化した。初期充填液のECUM処理は安定した術中術後状態につながり,新生児・乳児開心術の一補助手段となりうると考えられた。