抄録
胸部大動脈瘤手術時の補助手段として,大腿静脈―大腿動脈バイパスを12例に行い,その有効性について左心バイパス法と比較検討した。静脈脱血,人工肺使用により流量変動幅は0.76±0.37l/minと安定していた。また,体温はバイパス終了時36.5±0.8℃で,バイパス中に低下はみられなかった。術前後の遊離ヘモグロビンおよび,血小板,BUN,クレチニン,GOT,GPTの術後変動について,左心バイパス法と比較検討したが有意差を認めなかった。回路内にカーディオトミーフィルター付き静脈血リザーバーを組み込むことにより,ローラーポンプ吸引による迅速な術野出血の回収と,開放回路への変更が可能となり,より幅広い症例への対応が可能であった。