抄録
心拍出量を連続的に測定できるコイル加熱型連続心拍出量測定装置(Vigilance)を用いて,心拍出量を開心術前から連続的に測定し,術後急性期に認められるST上昇の臨床的意義を,48時間後の心電図で最大時の半分以下に低下したものをA群,最大時の半分以下に低下しないものをB群,ST上昇を認めなかったものをC群と定義し3群間で検討した。ST上昇が持続する場合には,明らかな再灌流障害が発生し,広汎な急性期心筋障害に関与するものと推測される。また,一過性のST上昇は,広範囲な障害には至らず,CCOも一過性の低下で回復する,いわゆる“ ショヅク心筋” を反映するものと思われた。STの上昇を認めなかったものは,その障害も軽微なもので臨床経過も良好であった