体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
23 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • ―輸血療法総論―
    小堀 正雄
    1997 年23 巻2 号 p. 1-5
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 秋山 泰一, 石川 隆志, 山内 章弘, 高須賀 広久, 海江 田章, 小野 正人, 三澤 健治, 日比谷 信, 井平 勝, 服部 良信
    1997 年23 巻2 号 p. 6-10
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    腎不全を合併した狭心症,および腹部大動脈瘤の1症例に対し,体外循環下に血液透析を併用し,冠状動脈バイパス術と腹部動脈瘤人工血管置換術を同時に施行した。症例は72歳,男性。慢性腎不全の診断で他院に入院中,腹部エコーとCTで腹部大動脈瘤を指摘された。その後胸部絞扼感が出現し,緊急冠状動脈造影を施行した。左主幹部の有意な狭窄を認めたため当院に転院し,緊急手術を施行した。腎不全に対する血液透析回路を体外循環に組み込み,冠状動脈バイパスニ枝を吻合終了後,補助循環中に腹部大動脈Y字人工血管置換術を施行した。補助循環中に腹部大動脈人工血管置換術を行うことで,術中の血行動態の管理や,血液の回収,返血等が容易となり,より安全に手術を行うことができた。また,体外循環中に血液透析を併用することにより,血中K+濃度や酸塩基平衡の管理および除水が容易であり,術後の血行動態の不安定な時期での血液透析を回避することができた。
  • 大島 浩, 土屋 淳子, 斎藤 友信, 河村 直哉
    1997 年23 巻2 号 p. 11-13
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    今回我々は,直線流路型遠心ポンプのキャピオックス遠心ポンプを使用する機会を得て,インペラー型遠心ポンプとの比較を行った。遊離ヘモグロビンはキャピオックス遠心ポンプ群の方がインペラー型遠心ポンプ群に比べ,体外循環開始後60分,120分で増加率は少なかった。血小板数,白血球数は両群の間に有意差は認められなかった。以上の結果から,インペラー型遠心ポンプよりキャピオックス遠心ポンプが,赤血球の損傷が少ないと考えられた。キャピオックス遠心ポンプの溶血が少ない理由として,インペラー型遠心ポンプに比べ,少ない回転数で流量が得られる点が考えられる。
  • 染谷 忠男, 吉岡 信也, 上屋敷 繁喜, 中島 康仁, 西田 慎一
    1997 年23 巻2 号 p. 14-17
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    IABPの駆動装置とバルーンカテーテルは,施設により様々な組み合わせで使用されている。当センターにおいても,駆動装置と他社製のパルーンカテーテルを症例を考慮して選択しているが,IABPの効果を減じてしまうほどのアラーム停止を経験した。これは整合性の問題と考え,6種の駆動装置と7種のバルーンカテーテルを組み合わせて実験的に比較検討した。その結果,組み合わせによっては,より良いIABP効果が期待できるものや,バルーンの不完全拡張を呈するものなど有意な差が見ちれた。今回の実験により,IABPを効率良く安全に行うためには,駆動装置とバルーンカテーテルの各々の特性を良く把握して使用しなければならないことを痛感した。
  • 佐藤 繁喜, 阿部 忠昭, 関根 智之
    1997 年23 巻2 号 p. 18-21
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    上行弓部大動脈瘤を合併した下行および胸腹部大動脈瘤に対し,二期的手術で腹部主要分枝灌流を併用した部分体外循環を2症例経験した。体外循環は大腿静脈から脱血した静脈血を,人工肺で酸素加血し,ローラーポンプを用いて大腿動脈へ送血するF-Fバイパスで行った。腹部主要分枝灌流は,人工肺の冠灌流用出口をY字にし,一方を心筋保護用小型ポンプを使用し,左右腎動脈灌流用とした。他の一方を吸引用ポンプを代用してポンプチューブ出口側を再度Y字にして上腸間膜動脈と腹腔動脈灌流用とした。腹部主要分枝灌流は各々200ml/minで行った。なお,Y字チューブの一方に電磁血流計プローブを組み込むことで灌流量を正確に知ることができた。
  • 増田 行雄, 中田 精三, 富田 敏司, 松宮 勝, 竹谷 哲, 市川 肇, 鍵崎 康治, 澤 芳樹, 門場 啓司, 佐藤 弘人, 石塚 弘 ...
    1997 年23 巻2 号 p. 23-24
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    心筋保護法の発達に伴いその注入法も多様化され,従来の心筋保護液注入装置では操作が煩雑になり誤操作の危険性がある。これら操作を安全確実,かつ省力化するための装置が求められている。今回我々は,各種心筋保護法に対応できる安全で操作が簡便な装置である心筋保護液注入装置HCP-5000を開発したので,心筋保護装置の仕様および特徴を報告する。
  • 小山 貴史, 山崎 隆文, 安田 剛, 皆川 宗輝, 増山 尚, 外山 雅章, 尾崎 重之, 河瀬 勇, 堀見 洋継, 大橋 荘樹, 関口 ...
    1997 年23 巻2 号 p. 25-28
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    近年,多くの施設で各種さまざまなパラメーターにおいて血液併用心筋保護液が使用されてくるとともに,各社それぞれの心筋保護液注入ポンプが開発されてきている。今回,3社(トノクラ医科工業社,泉工医科工業社,JMS社)のホンプについて,大きく5つの項目に分け当院の基準において比較検討した結果,各パラメーターにおいてそれぞれのポンプに特徴があらわれた。特に血液併用心筋保護液注入時に扱うマスタースレーブ機構の設定においては,各社それぞれ異なることが解った。ポンプ使用上の安全性では,3社とも特に問題となる点はないため,使用施設においてはどのパラメーターを重視するかにより,最適なポンプの選択をすべきであると思われた。各社にたいしては,今後も特性を生かしたより良いポンプの開発を期待したい。
  • 北村 麻未, 百瀬 直樹, 又吉 盛博, 安藤 勝信, 前田 孝雄
    1997 年23 巻2 号 p. 29-32
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    ダブルヘッドポンプの片側1台で行うコンパクトな血液併用心筋保護回路を作製した。この回路は,1台のポンプコンソールに2台のポンプヘッドを有するダブルヘッドポンプの片側1台に,血液と晶質液用のポンプチューブに,それぞれ内径4mmと2mmのトワロンチューブを用い,4:1の混合比として心筋保護液を注入する回路である。本回路の特徴は柔軟性の高いトワロンチューブを用いることにより,回転力の低いダブルヘッドポンプにおいても使用できることである。本回路を534例の心筋保護に臨床使用した。結果,本回路には開発目的であったコンパクト性の他に,注入操作が容易であった。
  • 中前 健二, 竹中 利尾, 古田 邦彦, 稲垣 直樹, 藤井 秀樹, 木下 肇彦, 平岩 卓根, 水元 亨
    1997 年23 巻2 号 p. 33-37
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Terminal Warm Blood Cardioplegia(TWBC)を導入し,再灌流後の心機能回復について検討した。対象はTWBCを実施したCABG手術10例と,TWBCを施行しないCABG手術10例とした。両群における再灌流後(大動脈遮断後)の自然心拍再開率・再開時間,術後のカテコラミン使用量について検討した。再灌流後における自然心拍再開率は,TWBC群80%,NTWBC群20%と有意な差を認めた。TWBC群での自然心拍再開時間は1~2分であった。心筋逸脱酵素であるCK-MB値には,術後両群間に有意な差は認められなかった。一方,カテコラミン使用量は,NTWBC群に比しTWBC群では有意に少なかった。以上の結果より,TWBCの効果として術後早期の心機能回復を促進させ,人工心肺離脱後の心機能回復に有用であったと考える。
  • 鹿野 直幸, 久保田 浩光, 桜井 勝, 赤池 祝昭, 金子 ゆかり, 久保田 充稔, 善嗣弘 廣瀬, 矢部 順一, 香内 信明
    1997 年23 巻2 号 p. 38-41
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    連続心拍出量測定(CCO),混合静脈血酸素飽和度(SvO2)の両方を連続表示するモニターリングシステム(Vigilance)を用い,人工心肺装着下の開心術例64例を対象とし検討を行った。Baxter社製CCOスワンガンツカテーテルを肺動脈内に挿入・留置し,CCOとSvO2を48時間にわたって持続的に測定した。開心術直後の血行動態は従来考えられていたように,SvO2とCCOの変化は必ずしも相関せず,様々な原因から解離した変化を示した。従来のスワンガンツカテーテルを用いた管理に比し,血行動態を迅速かつ的確な把握を可能とする点で有用性は高い。しかし,SvO2はCCOに比し迅速に反応するという報告はなされているものの,SvO2のみの変化による患者管理には注意を必要とすることが示された。Key words:CCO,SvO2,Vigilance
  • ―コイル加熱型連続心拍出量測定装置(Vigilance)を用いて―
    久保田 浩光, 鹿野 直幸, 桜井 勝, 赤池 祝昭, 金子 ゆかり, 久保田 充稔, 広瀬 善嗣弘, 矢部 順一, 香内 信明
    1997 年23 巻2 号 p. 42-45
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    心拍出量を連続的に測定できるコイル加熱型連続心拍出量測定装置(Vigilance)を用いて,心拍出量を開心術前から連続的に測定し,術後急性期に認められるST上昇の臨床的意義を,48時間後の心電図で最大時の半分以下に低下したものをA群,最大時の半分以下に低下しないものをB群,ST上昇を認めなかったものをC群と定義し3群間で検討した。ST上昇が持続する場合には,明らかな再灌流障害が発生し,広汎な急性期心筋障害に関与するものと推測される。また,一過性のST上昇は,広範囲な障害には至らず,CCOも一過性の低下で回復する,いわゆる“ ショヅク心筋” を反映するものと思われた。STの上昇を認めなかったものは,その障害も軽微なもので臨床経過も良好であった
  • ―Continuous Cardio Output Monitoring(CCOM)を用いて―
    赤池 祝昭, 桜井 勝, 鹿野 直幸, 久保田 浩光, 金子 ゆかり, 久保田 充稔, 矢部 順一, 広瀬 善嗣弘, 香内 信明
    1997 年23 巻2 号 p. 46-48
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当院において平成6年8月から平成7年9月に冠動脈造影を必要とした500例中,前下行枝一枝病変の労作性狭心症30例を対象にcenterline法を用いLVEF(左室駆出率)を算出し,それらを2群(A群;左室機能低下例0.35<EF≦0.59,B群;重症左室機能低下例EF≦0.35)にわけ,肺動脈にCCOM Catheterを挿入・留置し,心拍出量,心拍数,肺動脈圧および体血圧の経時的測定値をもとに冠動脈造影が心機能に及ぼす影響を経時的に比較検討した。A群,B群とも心拍数,肺動脈圧および体血圧には有意な変化は認めなかった。しかし,B群でのみ各冠動脈造影後11%の低下を認め12±2.8秒後に造影前値に回復した。以上の結果により冠動脈造影時間は左室機能にほとんど関係無く行われているが,重症左室機能低下例では明らかな心拍出量の低下を認め,real timeの心機能評価が可能であるCCOM systemの有用性が示された。
  • 山中 英樹, 藤井 義久, 片寄 恭次, 小山 淳雄
    1997 年23 巻2 号 p. 49-52
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    脳内酸素飽和度モニターINVOS3100を使用して,人工心肺中の脳内酸素飽和度を連続的にモニタした15症例についての検討を行った。15例中1例は分離体外循環を行っているため統計処理から除外した。今回,人工心肺中の脳内酸素飽和度の変動と血中炭酸ガス濃度,およびヘモグロビンの関係を検討したが,両者ともに脳内酸素飽和度との相関は認められなかった。分離体外循環を行った1例をモニタしたが,循環停止中の脳内酸素飽和度は急激に低下し,逆行性脳灌流開始とともにその傾向は鈍化した。また循環停止および脳灌流終了と同時に脳内酸素飽和度は急激に上昇した。今回,循環停止による脳内酸素飽和度の低下,循環停止解除による脳内酸素飽和度の上昇をモニタリングできたことは,脳の状態を評価する一つの指標として有用と考えられ,今後さらに追加検討が必要と考える。
  • ― CIBA-CORNING288,ABL500,NOVA STAT Profile6との比較検討―
    岩田 浩一, 宇都宮 精治郎, 川脇 雄次
    1997 年23 巻2 号 p. 53-58
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    ポータブル血液分析器i-STAT200とカートリッジEG7+を体外循環中に使用し,そのデータを他の血液分析装置と比較検討した。血液ガス,電解質項目において,他社の血液分析装置のデータと非常に高い相関が得られたが,Ht値は他の機種と比較して低値を示した。これは,i-STAT200が電導度電極法を使用しており,体外循環の希釈による総蛋白質の低下が影響したと考えられた。
  • 金子 克, 藤田 和睦, 原田 順和, 竹内 敬昌, 太田 敬三, 森嶋 克昌, 太田 喜義, 小池 由子
    1997 年23 巻2 号 p. 59-62
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    我々が用いている2ポンプ体外循環システムの脱血回路内に限外濾過器を組み込むことにより充填量を450mlまで軽減した。無輸血体外循環における本システムの安全性と限外について検討した。無輸血体外循環を施行した65症例を対象とし,手術時体重により10kg未満(A群),10~20kg未満(B群),20kg以上(C群)に分類した。A群では最低Ht値,術後最低Hb値の平均はそれぞれ18%,8.9g/dlであり,全群において退院時Hb値は術前Hb値の80%以上に回復していた。遊離Hb値,LDH値は体外循環後軽度に上昇していたが,LDH値は正常範囲内にとどまり,臨床上問題となる溶血は認められなかった。本システムは,安全性を損なうことなく充填量を軽減でき,体重7kg前後の症例に無輸血体外循環が可能であると考えられる。
  • 寺内 茂, 八木 克史, 佐々木 嘉彦, 村山 祐一郎, 藤原 克次, 神吉 豊, 池田 識道, 立山 満久, 梁 勉, 高田 洋, 宮川 ...
    1997 年23 巻2 号 p. 63-65
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    PCPS等の補助循環は治療効果が高く,構成がコンパクトなため,開始場所を限定せず,また,患者に装着したまま必要な場所へ搬送・移動できるという最大のメリットを有する。しかし,患者移送時には回路の屈曲や脱落などの致命的なトラブルを起こす危険性も有している。PCPSの臨床報告は数多いものの,患者移送に関するものは少ない。我々はこれまでの経験から,PCPSに必要な器材を運搬する際に簡便で,かつ装着時にも安全性が高いと考えられるベッドと一体型になるPCPS専用架台を作製した。この専用架台による患者移送数は少なく,今後更に検討を加え,改良を重ねていかなければならないと考えている。
  • 古山 義明, 小池 龍平, 松井 晃, 中村 譲
    1997 年23 巻2 号 p. 66-69
    発行日: 1997/02/25
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    当センターにおいて作製した自動制御型補助循環装置を用いて,2症例の補助循環を施行した。補助循環中の脱血不良に対する自動制御は良好に作動し,長期補助循環における患者の安全確保に有用であった。また,本装置を用いることによりマンパワーの軽減に有用と考えられた。
feedback
Top