抄録
我々が用いている2ポンプ体外循環システムの脱血回路内に限外濾過器を組み込むことにより充填量を450mlまで軽減した。無輸血体外循環における本システムの安全性と限外について検討した。無輸血体外循環を施行した65症例を対象とし,手術時体重により10kg未満(A群),10~20kg未満(B群),20kg以上(C群)に分類した。A群では最低Ht値,術後最低Hb値の平均はそれぞれ18%,8.9g/dlであり,全群において退院時Hb値は術前Hb値の80%以上に回復していた。遊離Hb値,LDH値は体外循環後軽度に上昇していたが,LDH値は正常範囲内にとどまり,臨床上問題となる溶血は認められなかった。本システムは,安全性を損なうことなく充填量を軽減でき,体重7kg前後の症例に無輸血体外循環が可能であると考えられる。