1997 年 23 巻 3 号 p. 12-13
開心術症例の手術成績は,近年著しく向上したが,未だ体外循環の影響は予後を左右する因子であり,その改良が必要である。最近,吸引脱血を行うことにより,体外循環回路を短縮した低容量の体外循環回路が開発され,無輸血開心術が報告されている。今回我々は,低圧制御弁を開発し,吸引脱血下でも安全に,かつ簡便に操作できる低容量体外循環回路を開発したので報告する。実験には成犬を使用した。1時間の落差脱血および吸引脱血の体外循環を施行し比較検討した結果,低圧制御弁を使用することで安定した吸引脱血による体外循環が可能となった。更に回路の短縮化により回路充填量の削減も可能となった。