体外循環技術
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胸腹部大動脈瘤人工血管置換術における選択的送血
松林 克典村上 博宣渡橋 和政四方 裕夫末田 泰二郎松浦 雄一郎
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1997 年 23 巻 3 号 p. 18-22

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抄録

胸腹部大動脈瘤手術における常温部分体外循環の腹部臓器血流維持に関し、落差灌流式人工肺を用い、分枝動脈の選択的送血を行い、効果を検討した。対象は1994年1月~96年5月までに行われた8例で、腹腔動脈と上腸間膜動脈に選択的送血を行ったものが3例(SelectiveBranch. A Perfusion: SBP群)、腎動脈に選択的送血を行ったものが2例、肋間動脈単独送血、腰動脈単独送血、選択的送血なしが各1例であった。術後、選択的送血なしの1例に一過性対麻痺を、術前片腎機能の1例に腎不全を認めた。SBP群と他の症例(5例)をnon-SBP群とし、血清生化学検査値を用いて比較した。SBP群のALTは術前から術後1週目にかけ変動せず、non-SBP群では一過性に上昇した。術後1週目にSBP群のAST、LDHは前値に復し、non-SBP群は復さなかった。従って、胸腹部大動脈瘤手術における分枝動脈の選択的送血は、臓器保護の観点から有効と考えられた。

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© 日本体外循環技術医学会
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