1997 年 23 巻 3 号 p. 23-25
1989年1月から1996年6月までの体重45kg 以下の74例を,同種血無輸血群56例と輸血群18例に分け,同種血無輸血に影響する因子を単変量解析(t検定)と多変量解析(ロジスティック回帰分析)で検討した。t検定ではアプロチニン投与率,最低咽頭温で危険率5%の有意が認められた。またCPB時間,CPB前Hb, CPB開始直後Hb値,最低Hb値,自己血準備量,術中出血量,術後出血量で危険率1%の有意差が認められた。多変量解析では,自己血準備量,術中出血量,術後出血量,CPB開始直後Hb値の4項目のみで有意差が認められた。同種血無輸血手術を達成するための技士の役割としては,安全な低充填量回路を使用すること。血液回収によ出血量を削減すること。体外循環中の温度の変化を穏やかに行うことと,体外循環時間を短くすることで血液損傷の少ない体外循環を行うことが考えられる。