心臓手術は従来より大量輸血を必要とすることが多かったが,輸血後の合併症予防のため開心術における無輸血体外循環が積極的に用いられている。当施設でも無輸血体外循環を行う機会が増えてきたが,15kg以下の経験はなかった。無輸血の対象を大人から乳幼児まで広げるためには,低充填回路が必要と考え,現在の小児・乳児回路の低充填化を検討・作製・使用した経験を得た。今回,P回路は体重14.6~18kgの12例,PS回路は7.5~13kgの6例,NB回路は体重5.2kgのVSD1例に対して使用した。なお,P回路使用の10例,PS回路使用の2例は無輸血体外循環で行った。小児・乳児用回路を低充填にすることは,乳児に対しても無輸血体外循環の可能性を高め輸血症例に対しても低充填により,使用血液が一人血となり,人工心肺中のブラディキニン等の影響を抑え,術後副作用を最小限に抑えることができる。