体外循環技術
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充填液量390ml人工心肺回路による小児無輸血体外循環の検討
林 憲嗣渡辺 直喜宮崎 秀文一二 大心米永 國宏栗栖 和宏宮本 和幸原 正彦西村 紀久夫満瀬 哲郎尾方 信也
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1997 年 24 巻 1 号 p. 56-58

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抄録
充填液量390ml2の小容量人工心肺回路を開発し,体重5~8kgの症例に無血充填体外循環を施行した。ヘマトクリット(以下,Hct)の推移,過剰塩基(以下,BE)の推移,体外循環中混合静脈血酸素飽和度の推移,水分バランス,血漿総蛋白の推移を検討し,また同体重(5~8kg)における充填液量550mlの従来型回路例と無輸血率を比較した。Hctの推移では体外循環中最低値は12.5±1.3%であったが,術翌日に27.4±2.3%,退院時には30.9±1.3%と回復した。BEの低下した症例はなかった。水分バランスは-12±18.5ml/kgと容量過多になった症例はなかった。術翌日の血漿総蛋白は6.7±0.5g/dlと高値に保たれた。無輸血完遂率は従来型42%に対し小容量型では75%であった。充填液量390mlの小容量回路の開発により,体重5~8kgの症例における無血充填体外循環が容易となり,無輸血率が向上した。
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© 日本体外循環技術医学会
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