1996年9月から1997年4月までに,中等度低体温を併用した開心術12症例を対象に,術中脳モニタリングの方法として,通常の脳波より客観性および認識性に優れている脳波マッピングについて検討を行った。脳波マッピングの変化は,麻酔開始により脳波の徐波化によるdelta,theta帯域のパワー値の増加が見られ,体外循環開始とともにパワー値が低下し,最低直腸温時に最も低くなり,体外循環終了直後でも麻酔開始時までには復帰しなかった。今回検討を行った脳波マッピングは,各周波数帯域の成分分布や左右差の有無が視覚的に容易に可能であり,臨床上客観的評価のできる方法であると考えられた。