抄録
冠動脈バイパス術(CABG)中の常温体外循環法の有用性については前回報告したが,今回我々は,常温下での心筋保護法としてIntermittent Warm Blood Cardioplegia(IWBC),IntermittentCold Crystalloid Cardioplegia(ICCC)を臨床的,技術的に比較検討した。IWBC群はICCC群に比べ大動脈遮断時間に有意差はなく,CPK-MBの低下傾向や大動脈遮断解除後の除細動(DC)施行回数の減少が認められた。また,両群とも手術死亡例はなくIABP使用症例もなかった。この結果から,常温下CABGのIWBCによる心筋保護法は,ICCCと比較して心筋保護効果がより優れていると考えられた。
