体外循環技術
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開心術におけるフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)DEHPの血中濃度の変化
三船 博子石川 隆志山内 章弘秋山 泰一海江田 章豊崎 正人三澤 健治福島 玲奈服部 良信伊藤 康宏井平 勝日比谷 信
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2000 年 27 巻 2 号 p. 49-51

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抄録
【要旨】フタル酸ジ(2-エチルヘキシル:DEHP)は,塩化ビニルの添加剤やプラスチック材料の可塑材として利用されており,医療においても多く用いられている。また,DEHPは以前より内分泌攪乱化学物質のひとつになりえる物質として問題視されている。今回,体外循環下に開心術を行った15症例のDEHP血中濃度を測定し,その変化について検討した。体外循環開始前ではすべての症例においてDEHPは検出感度以下であったが,体外循環開始後,1例を除いたすべての症例で増加し,全症例で体外循環終了直前がピーク値となり,その後減少した。DEHPが5.0μg/ml以上を示した症例3例を高値群(H群),他の症例を低値群(L群)とし,その2群間における体外循環中の尿量,除水量および分時尿量,分時除水量をそれぞれ比較した。体外循環中除水量および分時尿量,分時除水量においてH群はL群より有意に低値を示した。このことより体外循環中の尿量,除水量を十分に確保すれば,血中DEHP濃度を低濃度に抑えられる可能性が示唆された。
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© 日本体外循環技術医学会
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