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川崎 志保理
2000 年27 巻2 号 p.
1-6
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
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木下 昌樹, 田中 佑佳, 宇井 雄一, 山本 英樹, 丸山 仁実, 林 哲也, 尾嶋 良恵, 新田 功児, 西分 和也, 和田 英喜
2000 年27 巻2 号 p.
7-9
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】当院は,1998年12月28日に新病院に新築移転した。新病院では物流の一括管理を行う供給センターの一部門であるMEセンターにおいて,ME機器管理を中央化し運用している。新病院では,富士通社製オーダーリングシステムを導入し,全部署にオーダー端末を設置した。この統合システムの一環として,ME機器管理システムを開発,運用している。ME機器にはそれぞれ個体IDを付け,それにより貸出業務,修理業務,点検業務を行っている。また,これらのデータを含めたすべての情報を機器カルテに蓄積し,購入から破棄まで一連の機器管理を行っている。現在,約2,500台の機器を管理しているが,機器個体をID化することによって,コンピュータ上で一元管理することができた。今回ME機器を中央管理することにより,機器の状態把握がスムーズになり効率よく利用できるようになった。
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朝日 雄一郎, 前田 充徳, 森脇 敏成, 米田 裕一, 塩崎 敬, 仲井 照和
2000 年27 巻2 号 p.
10-12
発行日: 2000/06/01
公開日: 2011/08/04
ジャーナル
フリー
我々の施設では,長期のPCPSを施行する場合は,ポンプヘッド,人工肺,動脈フィルターを交換しながら行っている。その際,各部品の出入り口部のチューブを消毒し切断して交換を行っていた。しかし,回路を切断しながらPCPSを続けるには限界があり,また,清潔面においても疑問視され,ワンタッチコネクターを用いることで,解決を図った。その結果,操作性,耐圧性,漏れについては,充分効果を発揮したと考えられるが,コネクターの構造上,無意識の接触で外れてしまうことがあり,今後の課題となった。しかし,総合的に考えると,回路の切断をしないで安全に体外循環が行えるワンタッチコネクター方式回路は,実用的であると考えられる。
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倉島 直樹, 竹田 博行
2000 年27 巻2 号 p.
13-15
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】PCPS(経皮的心肺補助)施行時の人工肺血漿リークは有効膜面積の減少を来し,ガス交換が経時的に低下する。これを防ぐ工夫として,人工肺に流すガスの加温や,定期的にガスをフラッシュし,結露を排出する方法がある。当院においてもガス流量を定期的にフラッシュして結露を予防しているが,操作が煩雑であり,スタッフの労力を要するため,定期的にガスをフラッシュする装置を試作した。フラッシュは,タイマーと電磁弁により開閉が制御され,タイマーのセットは1分ごとに任意にセットが可能で,煩雑さや労力の軽減が可能と考えられた。
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高宮 哲徳, 高橋 竜也
2000 年27 巻2 号 p.
16-19
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】我々は,1998年4月より人工心肺装置の更新を機会に,体外循環中の記録を自動記録化するプログラミングを試みた。装置はヨストラ社製人工心肺装置HL20および付属の自動データ収集システムJOCAP SYSTEMを使用した。本装置はメモリーカードに術中の事象データ,体外循環データなどを記憶しておくことができることから,我々はそのメモリーカードのデータを市販の表計算ソフトEXCEL97上で展開し,Visual Basicを併用して解析し,当院の記録用紙に合うように加工した。このシステムを使用することにより,人工心肺操作中のデータの開示ができない所は難点ではあるが,多忙なときにでも術中のデータを残すことができ,当院独自の必要な情報をレイアウトできることなどの利点も多く,また難点もメモの形で術中にノートにとっておくことで克服されているので,これからはこのシステムをより実用的な物にしていきたい。
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― より高い機能性,安全性を目指して―
岸 宗宏, 富永 智, 神谷 勝弘, 丸屋 拓
2000 年27 巻2 号 p.
20-23
発行日: 2000/06/01
公開日: 2011/07/04
ジャーナル
フリー
新人工心肺装置HAS型を開発するにあたり,より安全に確実な体外循環を行えるよう“Simple”&“Safety”をコンセプトとして,つぎの3つにポイントを置き開発を行った。第一に人工心肺装置の安全性および信頼性をより向上させる。第二に血液回路のレイアウトの自由化,およびプライミングボリュームの低減を可能とさせる。第三にポンプ操作を簡便化する。ユニットのモジュール化や,光通信およびノイズカットトランスを採用すること,また制御回路にバイパスラインを設けることで,システムの安全性および信頼性を向上させた。ポンプヘッドを分離配置することで,回路のレイアウトの自由化を可能とするとともに,プライミングボリュームの低減も可能とした。操作スイッチの簡略化や設定状況のメモリーにより,ポンプの操作項目を減少させた。また,新方式のマスタースレーブ制御で,操作項目を減少させた。この新しく採用された機能は,より安全により確実に体外循環操作を行ううえで,有用な機能であると考えられる。
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舩木 哲也, 長沼 謙次, 稲葉 晃三, 木村 佳央, 稲葉 昌道, 仲野 孝, 北條 浩, 山火 秀明
2000 年27 巻2 号 p.
24-25
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】現在,体外循環の適正灌流量の指標として,ヘマトクリット,動静脈血のガス分圧などが重要な指標である。それらの指標に加え脳局所酸素飽和度(rSO2)も適正灌流の指標となり得るか検討した。我々は,rSO2は弓部大動脈手術時の落差式脳分離灌流に対し,血流量の増減に顕著に反応すると発表してきた。今回,通常の体外循環にも指標の一つとして利用できるのではないかと考え,人工弁置換術,冠動脈バイパス術を行った37例において酸素供給量とrSO2との間の相関を求めた。しかし,有意な相関関係は得られず,rSO2は通常の体外循環灌流の有用な指標にはなり得なかった。
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関口 敦, 曾田 治男, 大木 康則, 樺澤 寛二, 吉田 譲, 森田 高志, 笹川 繁, 佐藤 智明, 見目 恭一
2000 年27 巻2 号 p.
26-30
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】VAVD用バクスター社製吸引コントローラーと2種類のリザーバー(専用バクスター社製BMR-4500SG,非専用ミンテック社製BioCor200-IHS)を用い臨床評価した。対象は,成人開心術症例26例で,体外循環システムは,通常のローラーポンプ回路の静脈リザーバーを閉鎖式にし,吸引コントローラー,リザーバー内圧モニター,陽圧防止弁を追加した。吸引コントローラーは,制御圧が安定して操作性もよくVAVD導入をしやすかった。リザーバーは,両方とも支障なく使えたが,バクスター社製の付属回路が不可欠であった。ただし付属陽圧防止弁は機能不十分であった。VAVD-20~-30mmHg下の脱血量増加効果は,水シュミレーションでは60%,臨床例では69.2%の症例で約20~30%の増量効果を認めた。離脱時の遊離ヘモグロビンは40mg/dl以下で血尿を認めなかった。脱血量が増えなかった原因は,カニューレ先のコラップスが考えられ,改善のための工夫が必要である。脱血量が確実に増量できれば,単に落差脱血を補うだけでなく,脱血カニューレ・回路の細径化,短縮,充填量削減(脱血回路を非充填とする)を図れる可能性があり,MICS症例だけでなく,通常の体外循環症例に応用できると考えられた。
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―新しい人工心肺支援システムと体外循環自動化の可能性―
百瀬 直樹
2000 年27 巻2 号 p.
31-35
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】コンピュータの発展は目覚ましく,幅広い分野で応用されている。体外循環においても情報処理あるいは安全装置として使用されており,将来は自動化のための制御装置として応用されるものと考えられる。我々は1989年にパーソナルコンピュータを使用した人工心肺支援システムを開発した。このシステムは情報を処理するだけではなく,情報を監視する人工心肺の安全装置としても働くように設計した。臨床応用の結果,体外循環の安全性の向上と省力化においての有用性が確認できた。その一方で,コンピュータの基本操作が煩雑であることや,現在のパーソナルコンピュータそのものが不安定であることなどの問題点も明らかになった。将来,人工心肺の自動化を目指す際,コンピュータの改良を重ねたとしても,現在の鉗子操作を主体とする体外循環法では自動制御を困難にすることが予想される。自動化のために体外循環法を改革することができれば,ほとんどの体外循環操作を自動化させることは可能と考えられる。
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河田 修一, 窪田 將司, 鷹橋 浩, 黒田 廣, 青木 秀俊
2000 年27 巻2 号 p.
36-39
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】Gyro Pump,Bio Pump,Roller Pumpのin-vitroにおける性能評価を行った。測定項目は血球成分に対する影響をみる目的で,牛新鮮血を5時間灌流したときの溶血量と血小板数の測定と,両遠心ポンプの駆出特性,発熱試験を行った。その結果,Gyro,Bio,Rollerの順に溶血量が少なく,揚程150mmHgの条件下ではRollerは有意に溶血が多かった。血小板数においては3機種とも同程度であった。駆出特性では,Gyroが流量の変化に対し揚程の変化が少なく,低回転における最大流量はGyroのほうが高かった。発熱試験では温度上昇を見ると,どの回転数においても同程度の温度上昇であったが,発熱量に換算すると充填量の違いによりGyroが低かった。
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―BIO-PUMPとの比較―
窪田 將司, 河田 修一, 鷹橋 浩, 黒田 廣, 深田 靖久, 伊藤 昌理, 瀧上 剛, 吉田 俊人, 大場 淳一, 青木 秀俊
2000 年27 巻2 号 p.
40-44
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】京セラ社製遠心ポンプGyroPump JP-0005(GP)を臨床使用し,Medtronic社製遠心ポンプBio Pump BP-80(BP)と比較検討した。症例はGPを使用した10例と,BPを使用した18例で,全例,無輸血体外循環を施行した待機的CABG症例に限定した。両遠心ポンプの比較は,灌流量,回転数,平均血圧,直腸温,ヘマトクリット値(Ht),血小板数(Plt)などについて行った。両群間の身長,体重,体外循環時間などに有意差はなかった。両遠心ポンプは臨床使用上,良好に送血でき安定した体外循環を施行することができた。回転数は体外循環開始60分にGPで有意に高値を示し,他においても若干高い傾向を示した。平均血圧は有意差はないものの,GPで若干低い傾向を示した。また,直腸温においても有意差を認めなかったため,流量3.0~4.0l/min時の遠心ポンプの力量はBPの方が若干高いと考えられた。Ht,Pltに有意差はなかった。
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― ポリエチレン製熱交換器付人工肺について―
武田 正則, 小林 史枝, 渡辺 猛, 佐藤 正暢, 杉山 賢司
2000 年27 巻2 号 p.
45-48
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】ポリエチレン製の熱交換器付人工肺と送血に遠心ポンプを使用した症例で,温度プローブおよび患者の頭部に接触した際に強力な電撃を経験した。これは,吸引ポンプによる静電気が関与したと考えられ,帯電状況について分析検討した。実験的に人工肺と吸引回路内を生理食塩水で満たし,吸引用ローラポンプの回転数を50~250rpmと変化させたとき,生理食塩水への帯電電位は800~2,200Vであった。また,回転数150rpmにおける帯電電位は,時間とともに上昇し,5分間で1,500~2,100Vと最高値に達し,維持された。ポリエチレン製の熱交換器は,絶縁素材のため熱交換器に供給される水と血液の間に電気的回路ができず,静電気が血液に帯電し,患者接触時に電撃を感じる場合がある。臨床例では,リザーバと患者の頭部などで最高2,500Vが測定された症例を経験した。電撃は,物品などを落としたりする2次的災害を引き起こしたり,大気の冷温乾燥など条件によっては,より帯電電位が上昇し,熱交換器の絶縁破壊(1.8~2.3kV)を引き起こす可能性がある。そのため,静電気が帯電しないような熱交換器の改善または対策が必要と考えられた。
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三船 博子, 石川 隆志, 山内 章弘, 秋山 泰一, 海江田 章, 豊崎 正人, 三澤 健治, 福島 玲奈, 服部 良信, 伊藤 康宏, ...
2000 年27 巻2 号 p.
49-51
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】フタル酸ジ(2-エチルヘキシル:DEHP)は,塩化ビニルの添加剤やプラスチック材料の可塑材として利用されており,医療においても多く用いられている。また,DEHPは以前より内分泌攪乱化学物質のひとつになりえる物質として問題視されている。今回,体外循環下に開心術を行った15症例のDEHP血中濃度を測定し,その変化について検討した。体外循環開始前ではすべての症例においてDEHPは検出感度以下であったが,体外循環開始後,1例を除いたすべての症例で増加し,全症例で体外循環終了直前がピーク値となり,その後減少した。DEHPが5.0μg/ml以上を示した症例3例を高値群(H群),他の症例を低値群(L群)とし,その2群間における体外循環中の尿量,除水量および分時尿量,分時除水量をそれぞれ比較した。体外循環中除水量および分時尿量,分時除水量においてH群はL群より有意に低値を示した。このことより体外循環中の尿量,除水量を十分に確保すれば,血中DEHP濃度を低濃度に抑えられる可能性が示唆された。
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吉田 譲, 関口 敦, 会田 治男, 森田 高志, 笹川 繁, 樺澤 寛二, 大木 康則, 佐藤 智明, 奥村 高広, 小塚 アユ子, 許 ...
2000 年27 巻2 号 p.
52-56
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】左室脱血方式の補助人工心臓離脱時の循環補助手段として,拡張型心筋症にて装着の男性3例(うち1例は左房脱血)にPCPSシステムを用い,その有用性を検討した。システムは,PCPSテルモ社製エマセブ,出血回収サッカー(ローラーポンプ),貯血槽,返血ローラーポンプを組み合わせた。離脱は,常温,心室細動下で行うため,至適灌流量の維持と出血の対応の2点に注意して行い,全例とも,LVAS,PCPSからの離脱は問題なかった。1例で出血によると考えられる体温低下(35.8~34.4℃)と若干の灌流量不足(2.0l/min/m
2)を経験したが,短時間であり,自己心機能良好にて問題とならなかった。本システムは,簡素で,低充填量,生体適合材料のため低侵襲で,万が一の長期補助循環にも対応できる。通常は,至適灌流量が得られ,出血にも対応でき,安全かつ容易に循環補助できるが,多量出血,長時間補助による体温低下時や,至適灌流量が得られないときには,熱交換器付き人工肺を使用するなど,温度を調節できる処置をとるか,通常の体外循環システムを用い,安全,確実な補助手段下で行うことも考慮する必要がある。
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―共有結合とイオン結合のin vitro比較―
松尾 光則, 北田 博市, 飯田 弘美, 岡本 保
2000 年27 巻2 号 p.
57-59
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】現在臨床で使用されているヘパリンコーティング回路は,共有結合方式とイオン結合方式に大別できる。結合方式の違いは,ヘパリンの結合力の強度にあるとされ,臨床では長時間の体外循環使用によって差があるとされる。今回の研究は,結合方式の違いによる血中ヘパリン遊離と凝固因子に注目し,24時間にわたりin vitroで比較を行った。その結果,共有結合回路は初期に微量のヘパリンの遊離はあるものの安定した結合力を持つことが確認できた。これに対し,イオン結合回路は当初予測していた長時間の遊離ではなく,約3時間程度で含有しているほとんどのヘパリンが遊離する結果となり,短時間の使用においても耐久性に劣った。ヘパリンコーティング方式の違いによる臨床的な格差は少ないとされてきたが,ヘパリン遊離に関しては明確な有意差を認めた。
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荒井 和美, 進藤 靖夫, 細井 春久, 高橋 俊郎, 小西 宏明, 三澤 吉雄, 布施 勝生
2000 年27 巻2 号 p.
60-63
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】体外循環における血液ガスおよび電解質の検査は,人工心肺の管理上必要不可欠である。そこで今回,メンテナンスフリーのGEM-プレミアPLUSを使用する機会を得たので,簡便さと信頼性について現行測定装置と比較検討した。対象は1999年2月から同年3月までの体外循環を施行した14症例(男性7名,女性7名)で,採血時温度によりA群(34℃以上),B群(28℃以上34℃未満),C群(28℃未満)とに分類した。測定項目はpH,PCO2,PO2,Na
+,K
+,Hctとした。その結果各群で高い相関を示し,血液温度変化に関係なくGEM-プレミアPLUSの信頼性が得られた。また,GEM-プレミアPLUSはメンテナンスフリーのため日常管理が容易で,操作が簡便で測定も短時間であることから,体外循環中の使用には有用と考えられた。
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―AnteとRetroの冠血流分布―
吉岡 信也, 植木 弘一, 西田 慎一, 中嶋 康仁, 上屋敷 繁樹, 染谷 忠男, 橋本 和弘, 高倉 充
2000 年27 巻2 号 p.
64-66
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】冠動脈バイパス術において,Antegrade warm blood cadioplegia(AW-BCP), Antegrade cold blood cadioplegia(AC-BCP), Retrograde warm blood cadioplega(RW-BCP), Retrograde cold blood cadioplegia(RC-BCP)の冠灌流中の心筋組織血流を,レーザードップラー血流計を用いて右室壁と左室前壁の2点で計測した。その結果,左室前壁では,RW-BCP・RC-BCPがそれぞれAW-BCP・AC-BCPに比較し有意に多い血流量であり,右室壁ではAW-BCP・AC-BCPがそれぞれRW-BCP・RC-BCPに比較し有意に多かった。また,術後血清逸脱酵素の値をA-BCPを行った65症例をA群,A-BCP+R-BCPを行った62症例をAR群として2群間で比較した結果,CKMBとLDHでAR群が有意に低い結果であった。以上のことから,CABGに対するIntegradedblood cardioplegiaは,手術操作は煩雑となるが,心筋の虚血障害の軽減に有用であった。
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森田 高志, 関口 敦, 会田 治男, 笹川 繁, 樺澤 寛二, 吉田 譲, 大木 康則, 佐藤 智明, 奥村 高広, 小塚 アユ子, 許 ...
2000 年27 巻2 号 p.
67-69
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】呼吸不全を伴う重症心不全時のPCPS(VAB)における末梢送血法では,冠動脈血入口部である大動脈基部に対する酸素加が困難である。また,100%近い心拍出量の補助ができず,重症心不全例では効果的な補助が難しいと言われている。今回我々は,冠動脈血の十分な酸素加と右心補助ができ,積極的に自己肺と心臓の回復を目的とした,右房脱血左房送血VABと左室脱血大動脈送血LVAS併用症例を経験した。症例は広範囲急性心筋梗塞から心原性ショックへ至った65歳の男性で,緊急にIABPおよびPCPS(VAB)を開始し,更に同日,冠動脈バイパス手術を施行するも,人工心肺離脱困難にてPCPS継続,4日後,長期補助と心臓回復目的にVLABおよびLVAS併用補助へ移行した。補助流量はLVAS 4~5l/min。VLABは3~4l/minで維持された。酸素分圧は約150mmHgであった。VLABとLVAS併用補助の症例を経験し,冠動脈血の酸素分圧を良好に保ち,有用な方法と考えられた。その際,送血抵抗,循環血液量,VLABとLVASの補助流量バランスなどを適切に保つ必要があると考えられた。
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久保田 好光, 石塚 后彦, 高橋 亜紀子
2000 年27 巻2 号 p.
70-72
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】エホバの証人に対し,SEQUESTRA
TM1000を使用しBentall手術を行った。体外循環前に濃厚赤血球液,乏血小板血漿,濃厚血小板血漿を分離採取した。これらをプロタミン投与後にすべて返血した。術後出血量は少なく,貧血の症状を認めず,完全無輸血にて退院した。
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岩花 重樹, 徳井 俊也, 谷一 浩, 森本 保
2000 年27 巻2 号 p.
73-74
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】経皮的心肺補助法は,心不全や呼吸不全に対して有効な手段である。しかし,様々な合併症を伴うことも事実であり,その対策は重要である。今回,下肢虚血という合併症に対し送血回路に分枝を設け,下肢に選択的送血を行うことで症状を改善し得た1例を経験した。使用物品は日常多用される14G CVC用カテーテル,三方活栓,60cm耐圧延長チューブである。カニュレーションは浅大腿動脈を露出し,直視下に末梢方向へ行った。補助循環の中断は数秒であり,従来行われていた送血部位の変更やF-Fバイパスと比較して出血も少なく,低侵襲であると考えられた。分枝の途中で測定した血流量は90ml/minであった。経過は症状に著明な改善が認められ,機能障害も全く認められず,非常に良好であった。本法は簡便かつ低侵襲であり,非常に有効な手段であると考えられる。しかし,症例によってはより多くの流量が必要になる場合もあり,今後,より管抵抗を減らすことが重要と考える。
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神谷 典男, 北本 憲永, 高岡 伸次, 鈴木 克尚, 栗田 智代, 大野 雄三, 西條 幸志
2000 年27 巻2 号 p.
75-78
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】1998年11月から1999年5月までの6ヵ月間に,新生児・小児の補助循環5症例に遠心ポンプを用いた。体重は2,200gから12kgであった。低流量域でも安定したコントロールが行えた。全例にECUM回路,カーディオトミーリザーバを組み入れることで,プライミング血および輸血血液の洗浄と,持続的血液濾過が施行でき,電解質の調整および水分バランスの調節が可能となり,FFPや血小板などの凝固因子の輸血を大量に投与できた。また,術後の低心拍出量症候群に対しソフトリザーバを用いたことで,左房圧,中心静脈圧の調節が容易となり,前負荷の軽減が可能となった。出血コントロールの困難な症例において,自己血回収装置で回収,洗浄処理したことにより輸血の軽減に繋がった。
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中尾 一俊, 山内 尚也, 向山 美果也, 佐藤 勲, 今関 隆雄, 荒川 政美
2000 年27 巻2 号 p.
79-82
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】1997年7月から1999年9月までに,低侵襲小切開手術(MICS)を主に成人弁膜手術87例に対して施行した。当院のMICSは,胸骨部分切開法での単一の術野で全ての操作を完了するSingle Approachを基本原則とし,良好な手術視野を確保するために小口径脱血カニューレを使用し,脱血不足時に陰圧吸引を使用する以外はMICSでもほぼ通常の体外循環法とシステムを用いている。
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高木 俊宏, 吉田 磨, 小林 敬, 小倉 美佐江, 長尾 俊彦
2000 年27 巻2 号 p.
83-85
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】心拍動下におけるCABGを行うにあたって,冠動脈とGraftを吻合する際,静止野を得るために,スタビライザーは必要不可欠である。従来のスタビライザーは,心拍動を抑制し,心臓にスタビライザーを圧迫固定することにより心機能低下がみられる。これに対してOctopus 2は,吸引によって固定することにより,心機能低下はみられず,また,心拍数に関係なく吻合場所に的確に固定できる。そこで,1999年1月より9月までに行った心拍動下CABG7症例のうち,吸引型スタビライザーOctopus 2と,血管吻合中に起こる冠動脈末梢への虚血防止のためにシャントチューブを使用した3症例について,術中の血行動態,心拍出量の変化,および術後CK-MBを測定し検討した。その結果,術中は有意な変化はなく,安定した血行動態,心拍出量を得ることができた。今回用いたOctopus 2とシャントチューブの併用は有効であった。
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―遠心ポンプによる拍動流灌流―
大塚 徹, 吉田 雅人, 青木 啓一, 朝倉 利久, 田所 雅克, 稲井 理仁, 古田 昭一
2000 年27 巻2 号 p.
86-88
発行日: 2000/06/01
公開日: 2010/06/28
ジャーナル
フリー
【要旨】腎不全を伴う再弁置換症例に対し,尿量の維持には拍動流灌流が有効であると考え,遠心ポンプで拍動流灌流を行った。拍動流は遠心ポンプの自動充填機構を改良して行った。遠心ポンプを高速回転と低速回転に切り替えることにより拍動流を得るシステムである。高速回転で2,300rpm(0.3秒),低速回転0rpm(0.7秒)で行った。灌流圧は橈骨動脈圧測定で,最高血圧で88~110mmHg,最低血圧で63~83mmHg,脈圧は25mmHgであった。術中に利尿剤としてLasixを1.2g投与した。体外循環中に循環血液量の調整目的で限外濾過を行った。濾液量は3,900mlであった。体外循環中の尿量は1,500mlであった。術後も尿量は維持され無事退院した。
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