体外循環技術
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左心低形成症候群に対するNorwood型手術の体外循環の経験
岩城 秀平山本 泰伸小山 美季横田 通夫坂本 喜三郎角三 和子西岡 雅彦藤本 欣史太田 教隆上原 京勲塚下 将樹
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2002 年 29 巻 2 号 p. 116-120

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抄録

【要旨】近年,新生児開心術の成績は,飛躍的に向上したが,左心低形成症候群(HLHS)に対してはいまだに満足が行くものではない。今回,HLHSに対する当院における体外循環法を報告する。Norwood型手術を10例に施行し,送血は腕頭動脈に3mmグラフトを吻合した。新大動脈の吻合途中から大動脈遮断を行い,腕頭動脈から上肢への血流を維持した。流量は0.4~0.8L/min/m2であった。平均の手術時体重2,824g,手術時間460分,体外循環時間250分,大動脈遮断時間77分,循環停止は5例で22分,選択的脳灌流時間44分,下行大動脈送血を4例に行った。手術成績は生存7例,早期死亡3例(30%)であった。同時期に行ったHLHS以外の新生児開心術34例中,生存31例,早期死亡3例(9%)であった。脳保護と心筋虚血時間短縮を目的に選択的脳灌流法を行った。左心低形成症候群に対するNorwood型手術は,その他の新生児開心術と比較すると成績は不良であり,手術手技の改良のみならず,体外循環補助手段の更なる進歩が必要と考える。

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© 日本体外循環技術医学会
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