抄録
【要旨】人工心肺を使用した開心術では,異物反応によって種々のサイトカインが放出され,この炎症反応により放出された物質が,術後の臓器障害に関与するとされている。この炎症反応により放出された物質について,人工心肺中にHFを行うことによるサイトカイン(IL-6,IL-10)除去の有無,更に,それによる術後の影響を検討した。CABG症例12例を対象としコントロール群(6例),HF施行群(6例)に分類した。IL-6は,コントロール群に比べHF群が有意に低値を示した。IL-10は,両群間に差は見られなかった。また,術後24時間の出血量とICU滞在時間が,コントロール群に比べHF群が有意に低値を示した。これらの結果から,炎症性サイトカインを除去することは炎症反応の抑制が期待でき,臓器障害の予防の可能性が示唆された。