2004 年 31 巻 1 号 p. 31-34
(要旨)近年,冠動脈バイパス術は人工心肺を使用しないOff pump CABGが増加してしいる。その際には出血を回収するために自己血回収法を用いることが多い。今回,Off pump CABG症例において,洗浄式自己血回収装置を用いた方法(C群)と,Auto Transfusion型である非洗浄濾過式自己血回収法(NW群),およびOn pump CABG(CPB群)の3群におけるTP,アルブミン,Plt, Hb, RBC,溶血について比較検討した。その結果,TP,アルブミン,Pltには3群間に有意差なく,HbではC群がNW群・CPB群に比して有意に高値を示し,RBCではC群がCPB群に比して有意に高値を示した。溶血はNW群・CPB群が術後に有意に増加したが,翌日には術前値と有意差なく低下した。また,血液製剤非使用率はC群45%,NW群69%,CPB群38%であった。非洗浄濾過式自己血回収法は,洗浄式自己血回収法やOn pump CABGに比し,血液成分に対して有利な点は認められなかったが,出血とほぼ同時に返血できるため,血液製剤の非使用率は高かった。