抄録
【要旨】Elliottらが提唱したModified Ultrafiltration(MUF)は,小児開心術の体外循環後に短時間でHt値を上昇させることができ,術後の浮腫軽減を目的とした限外濾過法であり,小児に対する有用性は既に報告されている。我々は,成人開心術においてもMUFは有効と考え,2002年7月よりMUFを開始した。MUFは,脱血を大動脈ルートベントより行い,ヘモコンセントレーターで濃縮し,右房へ送血する当施設オリジナルの方法で施行した。今回,2004年2月から7月までの成人開心術のうち,MUFを行った40例を検討し若干の知見を得たので報告する。MUFの施行時間は7.8±1.8分,MUF中の送血Ht値およびTP値は38.2±7.3%,8.5±1.59/dLであり,MUFの前後でHt値は25.8±2.7%から28.8±3.1%へ,TP値は4.6±0.6g/dLから5.2±0.59/dLと有意に上昇を認めた(p<0.001)。成人開心術においてMUFは,短時間でHt値,TP値を上昇させる点で有効であった。