体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
左心バイパス法による胸部下行および胸腹部大動脈瘤手術
工藤 英範斎藤 司
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 32 巻 4 号 p. 449-454

詳細
抄録

【要旨】胸部下行および胸腹部大動脈瘤手術時の補助手段として,左心バイパスを行ってきた。そこで,左心バイパス法,術中・術後データおよび問題点について検討した。症例は2002年9月より2003年5月までに行った胸部下行大動脈瘤19例,胸腹部大動脈瘤9例とした。左心バイパスには遠心ポンプを使用し,脱血は左房より,送血は下行大動脈または大腿動脈へ行った。灌流指数1.1L/min/m2を基準とし,灌流量にて上肢平均血圧60~90mmHgを維持した。平均灌流量は2,263±335mL/min,左心バイパス時間は76.1±21.2minであった。28例中2例にPaO2が100mmHg以下に,また,1例に吸引用貯血槽のフィルターに血液凝固が原因と考えられる目詰まりを生じた。我々の行った左心バイパスは,回路が若干煩雑で操作に慣れを必要としたが,充填量が少なく血圧調整も容易で,ヘパリン使用量と輸血量を削減でき,体温低下に対しても,平均直腸温を34℃以上に維持でき安全に手術を行うことができた。

著者関連情報
© 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top