体外循環技術
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小児無輸血開心術における血液希釈と周術期因子との関連についての検討
古平 聡藤井 正実佐藤 正憲東條 圭一宮本 隆司宮地 鑑小原 邦義
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2007 年 34 巻 1 号 p. 1-3

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抄録

【要旨】心室中隔欠損症に対する術中無輸血開心術40症例(平均体重6.3±3.6kg)における血液希釈と周術期因子との関連について,体外循環開始後Hct20%以上をA群,20%未満をB群とし術前,術中,術後の各因子と術後血液データについて比較検討した。両群間で年齢,体重,術前Hct,血液希釈率,灌流指数,WBC,CPK,GOT,LDH,CRPにおいて有意差を認めた。CPBHctは年齢,体重,術前Hct,血液希釈率に左右されるが,術後経過および退院時Hctには影響を及ぼさないことが推察された。B群におけるCPK,GOT,LDHの上昇データについては,溶血の可能性が高く,WBC,CRPの上昇は,回路接触面積の増加による炎症反応の可能性が考えられた。今後A群のような条件で無輸血体外循環を行っていくには,患児の体格,生体情報に注意を払い,回路の低容量化を含めた安全な人工心肺システムにしていく必要がある。またB群の結果に当てはまるような条件が1つでもあった場合,灌流条件の変更などにより条件が改善されるかどうかを総合的に判断し対処する必要があると考える。

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© 日本体外循環技術医学会
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