体外循環技術
Online ISSN : 1884-5452
Print ISSN : 0912-2664
ISSN-L : 0912-2664
新しい動脈フィルタの実験的検討
―JMS社製フィルティアFT-50―
菅原 誠一千葉 二三夫渡部 悟那須 敏裕根本 貴史小林 暦光古川 博一小川 泰正河原畑 茂樹
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 34 巻 1 号 p. 10-12

詳細
抄録

【要旨】JMS社製動脈フィルタ フィルティアFT-50を用いて実験を行う機会を得た。TERUMO社製動脈フィルタCX-AF-125Xとdideco社製動脈フィルタD734とのプライミング時間,圧力損失,気泡捕捉量を測定し比較検討した。模擬回路を作製し,循環液には血液Ht35%,37℃に相当するグリセリン水溶液(45w/w%,粘性4cP,25℃)を用いた。その結果,プライミング時間はFT-50:1分33秒と短時間で従来品と比較しプライミング性の向上が認められた。圧力損失は7.0L/minにおいてFT-50:44mmHgと他2種と同等かそれ以下であった。気泡捕捉量はFT-50:30mL,捕捉率:60%であった。また,臨床使用後の走査電子顕微鏡観察においても血栓血小板,血球成分の付着は少量であった。FT-50は円盤プリーツ構造により従来品と同様のフィルタ面積を確保しつつ,低充填量,プライミング性の向上を実現し,従来の動脈フィルタの持つ課題を解決した。これにより人工心肺システムのセットアップ時間の短縮が可能となる。FT-50は緊急時においても安全かつ迅速に対応できる動脈フィルタであり,臨床使用においても有用であった。

著者関連情報
© 日本体外循環技術医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top