体外循環技術
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脳分離体外循環時での充填 量削減による輸血量の検討
中野 孝原 和信高橋 浩子山根 薫近藤 宏
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2007 年 34 巻 1 号 p. 42-44

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抄録

【要旨】輸血による合併症を発症するとその死亡率は95%以上と高く,発症を予防するため各施設で無輸血手術を行うための工夫がなされている。当施設においても,脳分離体外循環に用いる人工肺をテルモ社製Capiox-Eから泉工医科工業社製Primeに変更し充填量を200mL削減した。そこで今回,Capiox-Eを使用した予定症例5例,緊急症例8例(C群)とPrimeを使用した予定症例5例,緊急症例8例(P群)の他家血輸血量,自己血輸血量,体外循環中の最終Ht値について比較検討した。予定症例ではC群に比べP群で自己血輸血量は減少し,最終Ht値が上昇した。また,他家血使用量は両群とも使用しなかった。緊急症例ではC群に比べP群でわずかながら他家血使用量は減少し,最終Ht値が上昇した。これはP群の充填量削減による希釈率の減少によるものと考えられ,最終Ht値だけでなく体外循環中も持続的に高めであったことより,脳への酸素供給量が増えたと考えられた。今後,更に輸血量が削減できるよう検討していきたい。

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© 日本体外循環技術医学会
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