体外循環技術
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落差ゼロ吸引脱血法の安全対策
村松 明日香神谷 典男増井 浩史北本 憲永
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2008 年 35 巻 2 号 p. 157-160

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抄録
要旨当院の小児人工心肺システムは、患者とリザーバがほぼ同じ高さとなっている。落差をつけない吸引脱血法で壁吸引が途絶えた場合、電気式吸引装置がバックアップとして使用できるのか、また、循環にどのような影響を及ぼすかに加え、重要な安全装置となる陽圧防止弁の性能を確認した。電気式吸引装置と壁吸引の吸引流量はほぼ同等(40L/min)で、Baxter社製ベントレー吸引コントローラと接続した場合でも、壁吸引と同様の操作性を得た。吸引停止の実験は実際の体外循環を模擬した。吸引源停止後、リザーバー内の血液は脱血回路から患者側に逆流し、圧の平衡が取れたところで流れは停止した。吸引・ベントが回転した状態でもリザーバー内は陽圧防止弁により大気開放状態となり、脱血側に送気されることはなく、リザーバー液面と患者との高さで均衡状態となった。陽圧防止弁は取り付け方による抵抗の違いで排気能力が大きく変化することと陽圧が測定できない可能性が確認された。バックアップの吸引装置を常時接続することで、トラブル時のスムーズな対応が可能と考える。
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© 日本体外循環技術医学会
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