日本摂食障害学会雑誌
Online ISSN : 2436-0139
特集企画~摂食障害の背景を理解する~
摂食障害の脳機能
佐藤 康弘福土 審
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2023 年 3 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

神経性やせ症と神経性過食症に代表される摂食障害について,脳機能画像研究を通して病態解明の試みが進んでいる。背外側前頭前野は空間情報と海馬の記憶情報を集約して合理的な行動を計画する,認知制御系の中心となっている。眼窩前頭野は視認した物体の情報と扁桃体からの情動シグナルを受けて価値の評価を行う報酬系を構成している。AN(anorexia nervosa)患者では様々な課題で背外側前頭前野の活動亢進に関する複数の報告があり,認知制御の過剰統制が硬直した行動を生み出している可能性がある。眼窩前頭野については食物に対して反応の亢進が指摘されている。また,内受容感覚と情動,認知制御系と報酬系の情報を結びつける島皮質の機能異常,内省に関わる内側前頭前野の異常も認められている。しかし従来の研究では標本数の十分でない小規模なものが多く信頼性,再現性に限界があったため,多施設共同研究による病態解明の試みが国内で進行中である。

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© 2023 日本摂食障害学会
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